特別に病気があるわけでもないのに、めまい、立ちくらみ、頭痛、腹痛、朝起きにくい、昼からは元気になるが午前中ボーっとする、乗り物酔い、などが頻回に継続して起こります。朝礼や合唱・卒業式の練習などで立ち続けると倒れるなども、起立性調節障害の症状です。思春期前から思春期(小学校高学年から中学生くらい)に起こりやすい傾向があります。周りからは、だらだらしているように見えたり、午前中に症状がひどいため、登校しぶりや怠けのように見えますが、本人は結構つらいものなのです。
立つ姿勢になると、体の血液は重力によって下半身に集まってしまい、脳への血液供給が減少してしまいます。これを防ぐために自律神経が働き下半身の血管を引き締めて脳への血流を保つのですが、このバランスがくずれてうまく働かないと、立ちくらみなどの様々な症状が出ます。精神的ストレス、寝不足なども大きく影響します。
貧血など他に症状の原因になるものがないかを確認してから、問診、起立試験により、ODの診断、ODのサブタイプの診断をすすめていきます。
【1】生活で気をつけること
@起立時に、いきなり立ち上がらずに30秒以上かけてゆっくり起き上がる。
A起床時、ゆっくり起き上がり、頭を下げたまま歩き始める。
B早寝早起きなどの規則正しい生活リズムを心がける。
Cだるくても日中は、身体を横にしないようにする。
D気温の高い場所を避けるようにする。学校の体育を見学する場合は、日陰か室内で。
E毎日(学校を欠席した日も)、散歩などの軽い運動(1日15~30分ほど)を心がける。
*水泳は身体に重力がかかりにくいので、おすすめです。
F食事では塩分を普段より多くとる。(1日塩分摂取量10~12g)
G水分を多くとる。(1日1.5~2L)
【2】装具
弾性ストッキング・圧迫ソックス・加圧式腹部バンド
下半身への血液貯留を防ぎ、血圧低下を防止する
【3】薬物療法
@塩酸ミドドリン(メトリジン・メトリジンDなど)
起立直後性低血圧体位性頻脈症候群
Aメチル硫酸アメジニウム(リズミック)・メシル酸ジヒドロエルゴタミン(ジヒデルゴッド)起立直後性低血圧+塩酸ミドドリンで改善が得られない場合
Bプロプラノロール(インデラル)
体位性頻脈症候群+塩酸ミドドリンで改善が得られない場合
C漢方薬
補中益気湯、苓桂朮甘湯など
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